コラムと事例 -Column & Case Study-

TICAD V ・アフリカンフェア2013・ルワンダについて

(2013/08/01)

TICAD V ・アフリカンフェア2013・ルワンダについて

6月始めに、パシフィコ横浜で第5回アフリカ開発会議(TICAD V)が開催されました。このTICADと前後して展示会アフリカン・フェアも開催されました。これにルワンダという国が参加していました。国際協力機構(JICA)の紹介で、ルワンダ政府のIT政策アドバイザーとして同国に赴任している山中さんと同国ICT業界関係者と懇談する機会がありましたのでご報告します。(冒頭の写真はTICADのサイドイベントのセミナーで、カガメ大統領のICTビジョンについて説明するルワンダICT商工会議所 アレックス氏)

まずルワンダという国について簡単に紹介します。この国では、20年ほど前に、隣接するブルンジ、コンゴ(旧ザイール)も巻き込み、フツ族とツチ族の争いがありました。コンゴ、ブルンジ等の周辺国では、現在もまだ争いが見受けられるようです。当時、ルワンダではツチ族を中心に推定80万から100万人が、わずか数ヶ月の内に殺されたといわれています。ルワンダの人口が1000万人で、80数%がフツ、10数%がツチだとして、ツチ族はざっと150万人ということになるので、その半分から3分の2近い人々が虐殺されたことになります。

この虐殺と、ツチ族の人々を守るフツ族のホテル支配人を描いた「ホテルルワンダ」という映画は世界中で反響を呼びました。レンタルビデオで借りて見るといいと思います。激しいショックと感動を受けます。この映画を見たときに、風景が南アフリカで見た風景に似ている(一度だけ行ったことがある)と思ったのですが、後で、映画の撮影は南アフリカで行われたことを知りました。もしルワンダに行くことがあったら、そのモデルとなったホテルに泊まってみたいと思っていたので、映画に出てくるホテルルワンダが実は南アフリカのホテルを利用して撮影したというのがとても残念でした。以上、余談でWEBリソースを汚してしまい、すみませんでした。

さて、ルワンダの面積は、長野県と新潟県をあわせたぐらいの広さで、そこに1,000万人が住んでいます。その後ルワンダでは、カガメ大統領主導で「ビジョン2020」をつくり、ICT立国を宣言しています。国総延長5000kmの光ファイバーを引き、教育にも力を入れているそうです。国民登録制度には、民族を記載する欄を設けず、今ではフツもツチもなく国民融和が図られているようです。インターネットアクセスの人口カバー率も97%になるそうです。国の片田舎の小学生に聞いてもICTの重要性が浸透しているとのことでした。海外に住んでいた多くのルワンダ人も祖国の復興のために国へ戻り、あるいは私財を投じて復興・発展につくしているそうです。カーネギーメロン大学もこの国でメンターシッププログラムを展開しているそうです。現在「アフリカの奇跡」「アフリカで最も清潔で安全な国」と賞賛されているようです。「ルワンダの人はまじめで好感が持てる、日本人のメンタリティにも合う」とはJICA専門家山中さんの言葉です。確かに私がお会いしたAlexさんは、ロンドンの投資銀行の職をなげうってルワンダに帰国し、ICT産業発展のために努力している人で、とても好感の待てるまじめそうな好青年でした。この国には、資源がなく、狭い国土に多数の人がひしめき合っています。こういう国は教育熱心で、ICTには向いているといえます。

ルワンダには、日本のODAで政策アドバイザー(前述の山中さん)派遣、工科大学への支援、神戸情報大学院大学による、農業でのIT利用実験プロジェクトが始まっているようです。ビジネスでは、日本の会社が小規模だがオフショア開発を始めています。いつか大きなつながりになるとよいと思います。ケニアやウガンダなどといっしょに東アフリカ経済圏が形成されたとき、ルワンダは域内ICTの中心地になるかもしれません。ASEANのシンガポールのように。ビジネスのつながり、オフショアなどをしてもよいとお考えの方はJISA国際部にお問い合わせ下さい。ルワンダICT商工会議所につなぎます。