コラムと事例 -Column & Case Study-

新興国・開発途上国におけるICT展開のための環境について

(2013/08/01)

日本のITサービスやソフトウェアソリューションを海外に展開していきたい。これは我々の悲願です。さて、アジアやアフリカでITサービスやソフトを展開できる環境にあるのはどういった国か、縁あって調べてみました。せっかく調べて見える化してみましたので、このままボツにするのは惜しく、このサイトで公開してみることにしました。

いろいろな指標を持ってきて、客観的に比較できるようにしてあります。人口、一人当たりGDP(またはGNI)、経済成長率、ICTランキング(世界経済フォーラム発表のNetwork Readiness)、インターネット利用率(ITU)、携帯電話利用率(ITUなど)、識字率。人間開発指数(国連)、腐敗認識指数(Transparency Internationalによる指数・ランキング)を評価基準として選び、それを5段階に色分けし、点数をつけてみました。(点数基準は対象国の中位を基準に5段階化してみました)

経済指標やテレコム指標は当然のこととして、識字率・人間開発指数、透明性なども入れてみました。ある程度の民度がないと、やはりITを導入しても役立てることが難しいと考えたからです。システムを導入しても、一つ一つの処理結果に裁量が入っていったらシステム化する意味がないわけです。それにしても携帯電話の普及率はすごいですね。アフリカでは、ノキアのプリペイド方式が主流らしいです。プリペイドSIMを差し替えて、1台の端末を何人かで利用するようなこともあるらしいですね。これからの世界的なITサービスの趨勢を考えると、人間にもっとも近いデバイスはスマートホンかタブレットになるというのは間違いないでしょう。それともWearableでしょうか。

比較の対象としたのは、アジア、アフリカを中心に34カ国。なぜこの34カ国かというと、知り合いがいたり、その周辺国で象徴的な国だったりします。おまけとして、日本・韓国・シンガポールのアジア先進3カ国と中国もつけくわえてみました。

結果は下の表の通り。ご覧下さい。45点満点中で40点以上は日本だけです(米・英をはじめ先進国は例外なく40点以上です)。最低はネパールの18点、ほかに20点に到達しなかったのが、エチオピア、ミャンマーでした。我々は日本という恵まれた国でのビジネスに慣れています。30点前後の国やそれ以下の国とは全然違う環境にいるということを理解しておく必要があります。インフラが整備されているかどうかだけではなく、人が暮らしていく仕組みや環境に大きな相違があります。一人当たりGDPが3,000ドルを超える国、下の表でのスコアが30点を超える国はすでにビジネス上の注目を集めています。10年後、20年後には、日本をとりまく経済環境が激変するであろうことを考えると、そろそろ20点代のアジア・アフリカ諸国との真剣なビジネス上のつきあいを考え始めたほうがいいかもしれません。現在は援助、あるいは仕事を出すことを中心に、その国の将来を一緒に作っていくような取り組みが必要ではないかと考えます。