コラムと事例 -Column & Case Study-

先進企業に聞く海外研修のノウハウと効果(2/3)

(2013/08/01)

【事例の概要】
 グローバルな連携体制を構築すべく、海外子会社の幹部を集め、会議を開催しました。
 会議では、お互いの強み、認識している課題を相互に紹介しあい、課題認識の共有、相互補完の可能性、今後の連携の方法を含めた体制構築などを議論する予定でした。会議主催側としては、将来の連携に向けて、グループ幹部同士のコミュニケーション強化を図ることができればそれで成果としては十分という考えでした。ところが、実際に会議を開催してみると、お互いの強み、課題を紹介したのちに、日本の本社サイドの思惑とは無関係に、すぐに子会社の幹部同士で具体的なやり取りや議論が始まりました。
 会議の中では、連携のための体制や手法も形式的に決めたのですが、子会社幹部は帰国後、そうした形式にさほどこだわることなく、双方でコミュニケーションを取りあい、それまでは各国の子会社が単独では対応しえなかった複数国にまたがるグローバル案件の受注に成功しました。
 お客様は日本企業の米国現地法人ではありましたが、案件の内容やニーズからみて、欧米流のビジネスの進め方(スクラッチ開発を行うのではなく、ソフトウェアパッケージにパラメータを設定する程度のカスタマイズ)を望んでいたようです。
 結果として欧米子会社の営業手法と開発手順がマッチした結果となりました。

【ポイント】
 ◇外国人(海外子会社)と仕事を進める上では、体制や仕組み作りに専念するよりも、まずは当事者間で話し合いをし、合意できることを見つけて進めていくほうが効率的である場合がよくあります。
 ◇海外ビジネスの基本は、まずスピードありきだといえます。システム導入の場合もスクラッチ開発ではなく、パッケージを主体として、パラメータをセッティングする形でのカスタマイズが中心となることが多いといえます。あわせてシンプルで短納期であることも要求されます。
 ◇海外ビジネスでは、お客様もベンダーも、共通の標準、価値観など、いわゆるグローバルスタンダードにもとづきビジネスが展開します。ですから案件に固有の事象が少ない場合、社内のみならずお客様との間でもプロジェクトに関する連携は取りやすく、認識の齟齬や連携上の問題も発生することが少なくなります。

グローバルビジネスハンドブックより