10月31日、JISA会議室にて日中ITセミナー
「デジタルトランスフォーメーション時代に向けた日中関係の再構築」
を開催しました。
【プログラム】(敬称略)
(1)開会挨拶 14:00-14:10
1)日本側:一般社団法人情報サービス産業協会
グローバルビジネス部会 部会長 大須賀 正之
2)中国側:北京アウトソーシングサービス企業協会
理事長 鐘 明博
(2)スピーチ 14:10-16:20
1)株式会社OFO Japan
ビジネスデベロップメント ディレクター 日吉 良昭
2)「RPAとIoT(Smart factory)について」
パクテラ・テクノロジー・ジャパン株式会社 代表取締役副社長 小早川 泰彦
3)「AIとIoTを活用した農業クラウド」
ニュータッチイノベーション株式会社
執行役員/クレバアグリ(株)代表取締役兼CEO 余 望
4)「クラウド&ビッグデータの応用実例」
杭州迪火科技有限公社
常務副総裁 段志龍
(3)16:20-17:30 パネルディスカッション
(4)閉会 17:30
ネットワーキング 17:30-19:00
当日は満席、日中両国から多くの方にご来場いただきました。
①OFO JAPANの講演
最近日本でもよく見かけるようになったシェアサイクル。
黄色い自転車が目印のOFOは、中国・北京発のスマフォアプリを使用した
「ポートレス」のシェアサイクル事業です。
当日は講演してくださった日吉氏から、
アプリ画面と自転車の鍵を持ってきていただき
皆さんの前で実演してくださいました。
このようなシェアサイクルは
最近フリマアプリやAirBnBなどで話題となっている
シェアリングエコノミーの一種であるためか、皆さんも関心が高かったようです。
( ↓アカウントのご紹介もいただきましたので、貼ってみました!)
②Pacteraの講演
パクテラはアジアオセアニア地域を中心に
事業を展開するグローバルITカンパニーで
日本にも東京・大阪に支社を持つ中国の会社です。
ご紹介していただいた取り組みとしては
RPA(Robotic Process Automation)
IoT(Smart Factory)
でした。
RPAとは、最近はメガバンクや第四銀行が導入し、
コストカットを図っているということで
ニュースで聞くことも多くなったワードです。
(参考ニュース:8000時間の事務処理を削減した三菱東京UFJ銀行(日経情報ストラテジー))
ご講演にあった事例では、コールセンターの業務システムにて、
画面遷移に時間がかかり、クレーム対応は俗人的な対応が必要であったとされていたところ、
RPAを導入し、処理時間20~40分→1~2分になり、ミス・クレームが大幅減したという事例です。
また、IoTについては、IoTを導入した工場(Smart Factory)の事例についての説明がありました。
③クレバアグリ(株)の講演
クレバアグリさんは、人材不足問題が顕著化する農業領域において、
「ITで解決したい!」という気持ちを持って事業を始めたんだそうです。
現在は若手農業従事者へのVRを使った採集の教育や、農作業の自動化に挑戦しており、
「Made by Japan(日本で作られた野菜)」を売り出していくという課題解決型のビジネスモデルが紹介されました。
特にウェアラブルのディバイスの導入を進めている事業者の方々には
興味深い話だったようで、
VR機器のネットワーク環境や使い方のレクチャー、バッテリー維持の問題等が質問にあがっていました。
④杭州迪火科技有限公司の講演
二維火は2005年に設立された杭州迪火科技有限公司のアプリで、
いまや4000万人の会員を誇るとのこと。
飲食店のメニューに記載されたQRコードをスキャンするだけで注文ができます。
店側は人件費の削減だけではなく、クラウドで管理された帳票ですぐ売上げや回転率を確認できるというメリットも。
またデータが確認できるだけではなく、改善や店舗ランキングなど経営的な情報を瞬時に提供してくれる便利なサービスです。
クラウドがあまり有名ではなかった時代からクラウド技術に
先見性を見出し、今では中国の飲食業の形をも変革しつつあるとのこと。
ぜひ中国に来る機会があればダウンロードしてくださいとのことでした。
⑤パネルディスカッション
パネルディスカッションでは、これまで講演してくださった4人の方へのクエスチョンを振る、という形で行われました。
議題は日中のどんな違いがどう事業展開のネックとなるか、ということです。
【日本と中国の求める品質のレベルが違う】
→日本の銀行システムは1円の保証のために数億をかけるが、その感覚が中国にはない。といったお声も。
→とにかく導入のスピードが大切。アプリであれば早くリリースし、リリース後に改善していく(2週間に1回はアップデートするなど)細やかなケアが必要。
・日本と中国の支払い方法の差
→日本は現金・クレジットカード・最近では交通系のプリペイドが基本的には主流。
一方中国には「wechat」や「Alipay」が普及しており、一般の消費者をお客様とする場合、相手国に進出するときには大きな障壁となったとのことです。
ネットワーキングでは、講演及びパネルディスカッションでは聞ききれなかったことを熱心に質問する方がとても多い印象でした。
日本の決断のスピードが遅いという指摘や、中国人の新規事業に対する熱意が大変印象的なセミナーだったと思います。
以上、日中ITセミナーレポートでした。